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scoop: 異種スマート環境間をセキュアに動的接続・構成する基盤技術に関する研究

ユビキタスネット社会において,異なるサービス環境の間でもセキュアな相互接続と継続的なサービスの連携を実現するために,ネットワークをセキュアかつ動的に構成する基盤技術研究開発を行う.

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研究課題

RESTに基づく異種スマート環境間のセキュアな連携基盤

rest

生活環境に様々なセンサや機器を埋め込み,スマート環境を構築する試みが多数なされているが,一般にスマート環境はその環境の中だけで閉じていることが多く,異なる組織により構築されたスマート環境(異種スマート環境)間で,機器やサービス間の連携を行うのは困難であった.本研究では,異種スマート環境間の連携のための要件を示し,それを満たすフレームワークを提案する.

 本フレームワークでは,シンプルかつ汎用的な枠組みを実現するために,各スマート環境の機器をRESTに基づくWebサービスとして公開する.また,ゲストユーザに対してもスケーラブルできめ細かな権限管理を実現するために,ユーザ管理が不要なアクセス権限管理手法として,チケット認証方式を提案する.これは,イベント等で利用される紙のチケットから着想を得たものであり,ユーザが持つデジタル署名されたチケットのデータのみで,サービスの利用権限を判断する.本研究で提案した枠組みを用いれば,異種スマート環境間の連携を,シンプル・汎用的・セキュア・スケーラブルに実現できる.

研究成果

岩崎 陽平, 榎堀 優, 藤原 茂雄, 田中 宏一, 西尾 信彦, 河口 信夫, "RESTに基づく異種スマート環境間のセキュアな連携基盤", マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2008)シンポジウム論文集, pp. 185-194, 2008年7月.

多様な機器を赤外線で制御可能なWebサービスの構築

近年,ネットワーク環境の整備や情報端末の小型化により,いつでもどこでも誰でも情報やサービスを受け取ることができるユビキタス環境が実現されつつある.ユビキタス環境では多数のセンサや機器を相互に連携させることにより,我々の快適な生活をさりげなく支援することが期待される.機器同士の連携を実現するためにUPnP(Universal Plug and Play)やDLNA(Digital Living Network Alliance),Bonjourといった仕組みが利用され始めている.これらの仕組みを用いると,機器をネットワークに接続するだけでIPアドレスの設定や機器が提供するサービスの公開を自動的に行うことができる.これらの仕組みはネットワークに接続して利用することが想定される情報家電を中心に広まりつつある.しかしながら現在我々が生活している環境にはネットワークへの接続性や機器連携機能を持たない「非情報家電」が多数存在している.非情報家電の多くは赤外線リモコンやシリアル通信を用いて外部からの機器制御が可能である.このような機器をネットワークを経由して制御したり,他の機器と連携動作させるためには,機器自体にそのような機能を組込んだり,ネットワーク経由で赤外線やシリアル通信を制御を行うシステムを構築する必要がある.しかし,機器自体に組込むのは容易ではなく,またそのようなシステムを構築するためには,機器ごとに赤外線通信やシリアル通信を行うためのプログラムを実装しなければならない.また多くの機能を持つ機器は制御を行うたびに内部状態が変化し,単純な制御指示では意図しない動作をさせてしまう可能性がある.例えば,機器の電源をONにするためにON/OFF制御を行った場合,既に機器の電源がONの状態の場合は電源がOFFになってしまう場合がある.そのため非情報家電を制御するシステムは,一方的に制御に対して指示を行うのではなく,機器の現在の状態や状態遷移を考慮して指示を行う必要がある.

 本研究では非情報家電の内部状態を含んだ制御情報を効率的に制御システムに登録し,プログラムのコーディングなどを行わずにネットワークへの接続性や他のシステムと連携可能な環境を構築する手法の提案を行う.提案手法ではまず機器情報の登録を簡略化するために,様々な機器が持つ内部の状態をモデル化し状態遷移の仕方についてパターン分けを行う.そして,各パターンごとに状態遷移を含んだ機能テンプレートを作成する.この機能テンプレートに対して,機器を制御するために必要な赤外線信号やシリアルコマンドなどの対応付けを行う.このような手順を繰り返すことにより,様々な機器の情報を効率的に制御システムに登録することが可能となる.そして制御システムに登録した機器の制御をWebサービス化することにより,ネットワーク経由での機器制御や他のシステムとの連携が容易になる.さらに,Webサービスを用いて登録した機器情報を共有することにより,登録作業の手間を軽減することが可能となる. 上記の手法に基づき,機能テンプレートを用いた機器情報の登録とWebサービスの提供を行うシステムをWebサーバ上に実装した.機器情報の登録は,Webブラウザ上から利用可能なWebアプリケーションとして実装し,機器情報を管理するWebサーバ上にXMLファイルとして蓄積した.また,登録された機器をWebアプリケーションや他のシステムから利用するためのWebサービスAPIを実装した.そして実装したシステムを用いて赤外線リモコンによる制御が可能な機器の情報を登録するために赤外線送受信機を作成し,様々な機器の情報を登録した.実際にAPIを用いて機器情報の取得や制御を行う Webアプリケーションを作成し,携帯端末からの非情報家電の制御や連携制御が可能になることを確認した.

 本手法を用いることにより複雑な手順を踏まずに非情報家電の制御をWebサービス化し,ユビキタス環境へ組込むことが可能となる.

研究成果

春原 雅志, 河口 信夫, "多様な機器を赤外線で制御可能なWebサービスの構築", マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2008)シンポジウム論文集, pp. , 2008年7月.

共同研究

本研究課題は,名古屋大学,立命館大学,(株)内田洋行との共同で行われた.

謝辞

本研究の一部は,総務省「戦略的情報通信研究開発推進制度(SCOPE)」の支援を受けて行われた.